骨粗しょう症
(更年期障害に伴い起こる
内科的な症状)
皆さんは更年期時期以降に起こる内科的な病気をご存じですか?
更年期を説明するにはまずは閉経を理解しなければなりません。閉経とは1年以上生理(医学的には月経と呼びます)が止まった状態を閉経といいます。ですので、あくまでも1年間生理が止まっていた時に、その日の1年前の日を閉経と呼び、その前後5年間の合計10年間を更年期といいます。つまり閉経が50歳であれば45歳から55歳までが更年期と呼びます。さらにその時期に起こる様々な症状のことを更年期症状とよび、その中でも日常生活を脅かすような症状を更年期障害とよびます。更年期障害は内科やその他の科の病気が否定されていることが重要です。
更年期以降の症状
更年期以降に起こる症状として内科的な症状があります。その中に骨粗しょう症という症状があります。この骨粗しょう症という病気は骨がすかすかになってしまい、骨が折れやすくなってしまう状態です。
図に示すように健康な骨と比較すると骨粗しょう症の骨はスカスカになっているのがわかると思います。
このように骨の内部がスカスカになってしまうことにより骨折しやすくなってしまうのが骨粗しょう症であり、皆さんの健康に非常に大きなダメージを与えてしまいます。
そもそも骨は①骨を形成する骨形成と②骨を溶かす骨吸収でバランスをとっています。実はこのバランを保つ役割として非常に重要なのがエストロゲンという女性ホルモンなのです。
このエストロゲンというホルモンは更年期時期になると急激に下がり、更年期症状を起こす原因となっています。
このエストロゲンの低下は更年期症状を起こすだけでなく、骨形成と骨吸収のバランスを大きく崩してしまいます。そのため、更年期以降の女性は骨がもろくなってしまい、骨折を起こしやすくなってしまいます。
一方、現代の日本では女性の平均寿命が延びています。
2024年の厚生労働省の報告では男性、女性の平均寿命はそれぞれ81.09歳、87.14歳であり女性の平均寿命は男性と比較してかなり長くなっています。
日本の平均寿命は他国と比較しても非常に長くなってきており、日本の生活が非常に健康に良いことがわかると思います。
しかしながら、実は長生きですが寝たきりになってしまう人の割合も多くなってしまっており、健康寿命はあまり長くないという問題が出てきています。
その原因として非常に重要なのが骨粗しょう症という病気なのです。
骨粗しょう症のリスクは男性と比較して女性の方が2から3倍多いと報告されており、60歳代の女性では5人に1人、70歳の女性では3人に1人が骨粗しょう症になるとされています。
ですから安心した老後生活をおくるには40代からの骨粗しょう症の予防が非常に重要になります。
特に図に示しますように閉経前後から女性ホルモンであるエストロゲンが急激に低下しますから、この世代でのケアがより良い老後を過ごすのに非常に重要になりますね。
骨粗しょう症のリスク
こんな方は骨粗しょう症になるリスクが高いです。
下記にリスクが高い方の特徴をまとめます。
- 最近身長が縮んだ・背中が丸くなったと思う
- 閉経後の女性である
- 体格が細身である
- 両親のどちらかが太もものつけ根を骨折したことがある
- タバコを吸っている
- 日常的にお酒を飲む量が多い
- カルシウムを意識した食事をしていない
- 日光に当たる時間が少ない
- 糖尿病や慢性腎臓病で通院中である
- 関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症と診断されたことがある
- グルココルチコイド(ステロイド)薬(服用・吸引など)を使用している
上記のような方は骨粗しょう症のリスクが高い方です。十分に注意する必要性があります。
では何をしたらよいかといいますと、まずは骨密度の評価になります。当院では閉経前後の女性やそれ以降の女性に対して骨密度検査を行っています。また骨代謝マーカーの測定を行い、現在の骨吸収と骨形成のバランスを評価することも重要です。
骨密度の低下がある場合には骨密度を改善させる注射の治療がありますので、ご希望の方はまずは検査を行っていきましょう。